2022年京都府亀岡の群発地震
と地下水異常(1)
佃 為成
京都府亀岡盆地の深さ10~20kmで2022年2月から群発地震が発生しています。
周辺の活断層との位置関係などは参考資料をご覧ください。
この活動域の真上に地下水温観測点が3カ所あります。
亀岡市馬路町(TMG)と塩屋町に2カ所(KK、K2)です。地下水変化にも注目してみます(次の報告)。
今までの最大級の地震は2022.3.31 M4.4 h(深さ)13km、 2022.4.25 M4.1 h14km、2022.4.30 M4.3 h12km、2022.5.2 M4.4 h13km (気象庁HPによると、発震機構はだいたい東西圧縮の力による横ずれ断層)です。
まず、2000年以降の近畿地方北部の震央分布図。M6.0を越える地震は約20km南の2018年大阪府北部地震だけです。
次ぎに2022年2月からの亀岡盆地群発地震の震源分布とM-T図(地震のマグニチュードの時系列)、積算地震回数のグラフで示します。
参考:解説情報 京都府・大阪府境界,京都府亀岡市付近の地震(伊藤 潔)2022.5.7
2022.7.16
2022年京都府亀岡の群発地震
と地下水異常(2)
佃 為成
最初に約100年間の1923年1月14日~2022年7月15日の亀岡盆地群発地震活動地域における主な地震(M>=4.0)の震央分布を見ます。
黒塗りは2020年2月以降の地震で、亀岡直下のクラスター(M>=1.0)領域を点線で囲みました。水温観測点の位置も示してあります。
次に群発地震の初期(2018年2月 - 3月)の活動を調べます。M-T図と積算地震回数のグラフを示します。
この群発地震と関係がありそうな観測データ異常が見つかったのは、亀岡市馬路町(TMG)の水温です。10分間隔の観測値をそのまま表示しています。
2月の中頃、度々水温上昇があり、2月21日ごろから4,5日にかけて約1℃上昇し、次第に下降、その後、急な下降が何回か起こりました。
これは水位がセンサーの位置より下がり、水温の代わりに気温を記録したものと考えられます。水を汲み上げていたモーターも空回り。機器動作が回復したのち、3月23日から6月3日までセンサーが引き上げられ、その間は気温観測です。
群発領域の南、亀岡市塩屋町(KK, K2)では、地震活動と結びつくと明確に判断できる水温変化はありませんでした。
水温の異常な上昇は、恐らく地下深部の亀裂系に潜んでいる高温水上昇が原因。異常水位低下の原因は地下の比較的浅い所で地下水系に変動があったと考えられます。地殻変動かどうかは不明。
参考:観測情報 近畿地方の観測情報 及び 近畿地方の観測情報(補足と追加データ) 2022.6.9
(図の作成は東大地震研究所TSEIS web版の気象庁データJMA_PDEを使用)