2026.5.10
2026年4月長野県木崎湖付近の地震 (M5.0, M5.1)
佃 為成
2026年4月18日に糸魚川・静岡構造線(糸静線)に沿った長野県木崎湖の北東地域で M5.0とM5.1の地震が発生しました。ちょうど1年前、少し南の大町付近で、M5.1の地震が起こりました。
大町付近の地震の震源断層は横ずれ型でしたが、今回は逆断層だそうです。糸静線に沿った地域でも木崎湖のようにへこんだ地形が示すように上下変動が大きいのでしょう。
なお、その北西約10kmでは、1986年12月30日にM5.9、その北の長野県白馬村では2014年11月22日にM6.7の長野県神城断層地震が起こっています。
糸魚川・静岡構造線断層帯と上記の地震の震源を含む1985年以降の震央分布を図1に示します。糸静線沿いの地震活動の他、富山県・岐阜県と長野県の県境の北アルプス、特に上高地付近の活動が見えています。これについては、参考文献(3)をご覧ください。
なお、図の地震活動図作成には、東大地震研究所TSEIS web版を用い、気象庁データJMA_PDEを使用。
図2は、図1の記号Aで示した長方形の枠内の地震分布です。北側のM5.0の南南東約1kmの所に、約1時間半後にM5.1の地震が起こりました。
図3には図2の地震活動の時間関係を示しました。横軸の時間に対し縦軸は発生した地震のマグニチュードを表しています(M-T図)。M5が発生するまでの数ヶ月は非常に地震が少なかったことが分かります。余震は南側に広がっています。
参考文献:
(1)佃(1989):広義の前震・余震活動を伴った1986年長野県北西部大町付近の地震(M5.9)の震源過程と地震テクトニクス,地震研究所彙報 Vol.64 pp.433-456.
(2)佃(2016):2014年長野県白馬村の地震の予知, コラボ No.1 p.35.
(3)佃(2020):2020年上高地の群発地震について(1),(2),(3), コラボ No.6 p.80, 81,83.
(4)佃(2025):2025年4月長野県大町付近の地震, コラボ No.11 p.78.
2025.4.29
2025年4月長野県大町付近の地震
佃 為成
2025年4月18日に糸魚川・静岡構造線に沿った長野県大町市付近でM5.1の地震が発生しました(震源断層は横ずれ)。
この付近は、1918年11月11日に歴史地震として著名なM6.1とM6.7の双子地震があった所です。
なお、その北10数kmでは、1986年12月30日にM5.9(1)、その北の長野県白馬村では2014年11月22日にM6.7の長野県神城断層地震(2)が起こっています。
糸魚川・静岡構造線断層帯と上記の地震の震源を含む2000年以降の震央分布を図1に示します。なお、図1, 図2の地震活動図作成には、東大地震研究所TSEIS web版を用い、気象庁データJMA_PDEを使用。
2025年4月18日に発生したM5.1地震の余震が造る震源ラスターの北隣りには別のクラスターが存在します。このクラスターは、2011年の東北の地震(M9.0)の後から目立つようになりました。以前ご紹介した上高地の地震活動のときのように(3)。
参考文献:
(1)佃(1989):広義の前震・余震活動を伴った1986年長野県北西部大町付近の地震(M5.9)の震源過程と地震テクトニクス,地震研究所彙報 Vol.64 pp.433-456.
(2)佃(2016):2014年長野県白馬村の地震の予知, コラボ No.1 p.35.
(3)佃(2020):2020年上高地の群発地震について(1),(2),(3), コラボ No.6 p.80, 81,83.
2016.1.17
長野県白馬村の地震の予知
佃 為成
2014年11月22日のM6.7長野県北部地震(長野県神城断層地震)は、1986-90ごろからその地震像が描き出されていました(地震予知総合研究振興会,1990,地震テクトニクスに関する総合研究 第3章 北部フォッサマグナ周辺に発生可能な地震像,83-142.)。
その主な根拠は、
1) 歴史上の地震(1714年 M6.3)の存在
2) 活動度Aの活断層(神城断層)の存在
3) 1714年の地震以後、白馬付近では目立った地震活動はない。長期の空白域である。
4) この糸魚川・静岡構造線に沿った地帯は、連鎖的に地震が発生する(1714, 1858, 1890, 1918年の各地震)。
5) 1986年の地震(M5.9)が前駆的な地震活動である可能性がある。
6) 90年間の三角測量(三辺測量)によると地殻歪が集中的に蓄積している。ねじれの歪みを「せん断歪」といい、各地点で、いろんな方向のなかで最大のもの、最大せん断歪は4~6x10-5(5~7x10-7/yr)。先の地震(1714年)から蓄積したとすると。緩和された分を考慮しても、地震がもうすでに発生してもよいという確率は高い。歪蓄積の範囲から規模を推定するとM6~7。
白馬地域を主なターゲットとした1995-2008年の東京大学地震研究所の共同研究プロジェクト「内陸直下地震の予知 - 地震研究所特定共同研究A」では種々の観測がおこなわれました。
その中で、白馬倉下の湯温泉の源泉(白馬鉱山HR-1号泉)に於いては1998年10月から2015年4月12日まで水温の連続観測がおこなわれました(その後は井戸の仕組みが変わったため観測継続断念)。
水温グラフのだいたいの傾向に注目すると、地震の5年ほど前から、それまではほぼ一定(若干下降-0.17℃/year)だった水温に明瞭な下降傾向が見えます(-1.5℃/year)。これは、震源域の神城断層付近では地震の前からねじれ歪が生じ、断層の西側、下盤側に位置する倉下の湯直下では引っ張りが働き、岩盤膨張、圧力低下、上昇流体の量減少、そして水温低下となったと考えると理解できます。 温泉は地震後自噴が停止しました(12月18日には回復)。これも地震による、より大きな岩盤膨張のためと理解できます。




図1. 糸魚川・静岡構造線断層帯付近の震央分布。図2. 大町付近の震源クラスター。
図2. 大町付近の震源クラスター。図1の記号Aで示した長方形の枠内の地震。

