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                2024.3.9

千葉県東方沖スロースリップ--- 2024年2月26日からのイベント ---

 

                        佃 為成

 

千葉県東方沖(房総半島東方沖)ではしばしばスロースリップ(ゆっくり地震)とそれに伴う群発性の地震(普通の地震の余震みたいなもの)が発生しています。

スロースリップ検出のためには地殻変動を測定しなければなりませんが、1980年頃から傾斜計観測網充実、1997年ごろからGPSのデータが使えるようになり、1983年のイベントから、今回(2024年)まで9回のイベントが見つかっています。3~6年間隔で発生しています。

 

                  

1. 1983  (7年) 

2. 1990  (6年) 

3. 1996  (6年)

4. 2002  (5年) 

5. 2007  (4年) 

6. 2011  (3年)

7. 2014  (4年) 

8. 2018  (6年) 

9. 2024  (     )内はだいたいの間隔年数。

 

房総半島付近の直下のスロースリップは、フィリピン海プレートが南から北へ向けて沈み込んでいて、陸側のプレートとの境目で発生しています。スリップ域の広さとずれの大きさから、ずれを起こす、互いに反対のダブル回転力(モーメント)を求めると、対応するMが見積もれます。モーメントマグニチュードMwです。これまでのイベントはMw6~7のようです。

 

まず、2024年2月20日からの地震活動を房総半島周辺の震央分布を示します。

       

次に、スロースリップ近辺(前図の四角の部分)の震源分布、その活動の時間変化(M-T図)を示します。2024年3月7日までの最大地震は 20224.3.1 05:43 M5.3 h31km です。2番目は千葉県白子町付近の陸地直下の2024.3.2 01:49 M5.0 h26km です(h は深さdepth)。

      

      

(図の作成には東大地震研究所TSEIS web版の気象庁データJMA_PDEを使用)

 

参考文献:

1)  防災科学技術研究所(山本英二・大久保正):地殻傾斜の連続観測で捉えた2002年10月に発生した房総半島東方沖のスロースリップ, 地震予知連絡会会報, 69, 198-204,2003.

2)  防災科学技術研究所(松村正三):地震活動変化によるスロースリップ域の特定, 地震予知連絡会会報, 79, 107-109,2008.

3)  地震調査研究推進本部地震調査委員会:2024年2月26日からの千葉県東方沖の地震活動の評価, 2024.3.1

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