2024.9.26
福岡県西方沖地震と水温変化
佃 為成
2005年3月20日、福岡市志賀島の北西沖の玄海島付近でM7.0の地震が発生しました。福岡県西方沖地震です。
地震発生の前年の秋頃、震源の東方25kmの井戸で異変がありました。福岡市の東、宗像市の西隣の福津市西福間の海辺です。井戸がある旅館の女将の話によると、普段より水温が高く、23℃ぐらいあったそうです。
地震発生から数日後、宗像市の保険福祉環境事務所(保健所)から、地震後、地下水の異変の報告が多く寄せられたとのことで、当方にその原因についての問い合わせがありました。私は4月に現地入りし、調査をいたしました。
多くは水が濁る異変でしたが、地震前の異変は、福津市の井戸の水温上昇変化だけでした。実は、このことは地震前に、宗像保健所へ異常現象として通報されていました。保健所では対応できなかったそうです。
2005年4月14日、福津市の水温観測を開始しました。
水温のグラフを示します。2005.4.14から2024.9.24までのデータです。但し、2020.9.15~2021.4.2 は記録計(ロガー)の故障により欠測です。
まず、1日毎に平均値を求めそれをプロットしてグラフをなめらかにします(下の図)。水温計は井戸の深さ6mに設置。季節変化が大きいので、さらに季節変化(1年周期のサイン関数)を引き算したものが上の図です。
福岡地震後1ヶ月弱からのデータです。当初は温度変化のゆらぎが大きいですが、2007年ごろからゆらぎも小さくなり、さらに温度が少しずつ低下しています。
しかし、東北の超巨大地震が発生した2011年ごろから水温低下は止まり、2013年後半から水温は上昇し、2014年から2018年頃はほぼ一定の高い温度を維持していたと思われましたが、長期的トレンドで見ますと上昇が続いているようです。
2005年の地震発生から2013年までは福岡地震の後始末でしたが、その後は、上昇変化に転じ、2021年8月中頃から季節変化の幅が大きくなってきました。その原因として、センサー位置の変化、地下水の流れ変化などが考えられますが、まだはっきり分かりません。
また、水温計の故障で、2023.3.11より欠測。2024.3.15に新しいシステムを導入。それ以降の新しいデータは、まだ、季節変化を除去できていません。グラフにするまで数年以上かかります。故に今回は図示していません。