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2021.3.7
2021年3月ニュージーランド付近の地震(M8.1)の意味
佃 為成
日本時間2021年3月4日~5日の深夜から早朝にかけて、ニュージーランド付近で以下のような大きな地震が連発しました。
F1: 2021.3.4 22:27(JST) Mw7.3 h20.8km 横ずれ
F2: 2021.3.5 02:41(JST) Mw7.4 h53.1km 逆断層
M : 2021.3.5 04:28(JST) Mw8.1 h26.5km 逆断層
時刻は日本時間(JST)、マグニチュードはモーメントマグニチュードMw、hは深さです。ワシントンに本部がある地震研究機構 IRIS (Incorporated Research Institute for Seismology) のホームページからデータを取得しました。
本震Mw8.1や直前の前震Mw7.4の震源断層は逆断層型でケルマデック海溝での沈み込みの地震、最初の前震Mw7.3は横ずれ型です。今後、余震が多発します。
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(M9.0)は、太平洋プレートの沈み込みによる超巨大地震でした。太平洋プレートは非常に広大で、東北地方沖の日本海溝から南東方向に8,000~9,000kmも離れた所でも東から西へ向けて沈み込みが起こっています。ニュージーランドの北東、ケルマデック海溝です。この海溝はニュージーランド北島の北方で消滅し、南島の南に別の海溝が現れますが、こちらはインドプレートが西から東へ沈み込んでいます。プレートの運動をスムーズにするため、2つの沈み込み帯をつなぐ、トランスフォーム断層(横ずれ)が生じています。最初の前震Mw7.3は、この断層付近で発生したものと思われます。
1997年1月1日から2015年10月31日までのニュージーランド゙付近の震源分布(M>=7.3)と、地震が発生した時刻にマグニチュードMの大きさの縦棒を描いたM-T図を示します。先日の大地震 F1,F2,M は星印にて示しました。この地域は大きな地震が頻繁に発生しています。活動には10年、20年のうねりがあります。M9.0が発生した2011年ごろはニュージーランド付近の活動はやや低調でした。
(図の作成には東大地震研究所TSEISweb版にてHARVARD大学のデータを使用)