2024.8.14
2024年8月9日神奈川県西部の地震 (M5.3)について
佃 為成
日向灘にて沈み込むフィリピン海プレートの境界で2024年8月8日にM7.1の地震があり、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発表されました。
次の日(8月9日19:57)に、フィリピン海プレートの沈み込み域の東側の部分、神奈川県でM5.3の強震がありました。いわゆる南海トラフ地震の震源域から外れていますが、南海トラフ域と同様、フィリピン海プレートの沈み込みの地震です。
右上の震源分布は2024年8月の8日から10日までの期間を取り上げました。M≧3.0 の地震を示します。フィリピン海プレートの西と東で立て続けに沈み混みの地震(逆断層型)が発生したことは注目されます。
右下は神奈川県付近の震源分布図(2000年以降)です。8月9日の地震の震源は神奈川県の西部、秦野市直下です。プレート境界の逆断層のようです。沈み込んだプレート(スラブ)は、東京あたりでは深さは20-30kmですが、沈み込む手前の秦野あたりは10kmになっています。M5より大きい地震は右下の図では、今回の地震のみ。やはり注目すべき地震です。
ところで、関東大震災を起こした1923年9月1日の地震(M7.9)は、もっと南側の相模湾で起こっています。このスラブはこの湾で東の三浦半島直下、北東向きに沈みこんでいます。そこがM7.9の震源でした。
M5.3の震源に近い神奈川県伊勢原市の井戸水の水温は、2020年ごろ異常な水温上昇がありました。下にそのグラフを示します。地下深部で岩盤の圧力が上昇し、亀裂群の中に潜む高温の水が上昇してきたものだと考えられます。
(図の作成は東大地震研究所TSEIS web版の気象庁データJMA_PDEを使用)