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                                          2024.4.13

                     新潟の観測情報

      ---- 水温と電気伝導度の変化 ----

                       佃 為成

 

 

新潟県阿賀野市出湯温泉の観測情報です。「地下からのサイン測ろうかい」のメンバーの1人、川上貞雄さん所有の泉源での観測です。川上さんは、2001年から1週間に1度、自噴する温泉水の電気伝導度と水温を測っておられます(時には水温を上げるため汲み上げポンプ稼働)。

 

2008年末には井戸の深さ15mの位置に、0.01度の精度を持つ白金抵抗体水温計が設置され、これは自動記録方式です。但し、器機故障のため、データは2023.10.23まで。

 

手動測定の伝導度計(水温も測定)は、2015.10.17と2022.6.17に機器を交換しました。伝導度値に器差(機器による違い)がありますのでご注意ください。

出湯温泉の観測点は東北地方太平洋沖地震の震源域の縁から西へ約200kmの位置です。

 

グラフは、一番上が自動計測の温度、その下に川上さん計測の温度と電気伝導度です。伝導度(電気の流れ安さ)の単位はmS/m(ミリジーメンス/メートル)です。 S(ジーメンス) = 1/Ω(電気抵抗値)。川上さんのデータは2024.4.6まで。 

 

電気伝導度には、2004年の新潟県中越地震(M6.8)や2007年の新潟県中越沖地震(M6.8)、2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)の前に前兆的な変動が記録されています。

 

2回の新潟県の地震では、地震前に電気伝導は上昇しましたが、2011年3月11日の地震では1年数ヶ月前から下降し、その後上昇に転じたところで、地震発生です。

 

精密水温データは、M9.0地震の1年数ヶ月前から -1.0度/年の率で下降、数ヶ月前から急に上昇したり下降したりの変動がありました。

 

地下の岩盤が縮むと圧力が増し、深いところの水は熱く、電気を通し易くするミネラル成分が濃いので、この水が上昇すると、水温も伝導度も上がります。逆に、岩盤が膨張すると圧力が弱くなり、深い水の上昇は減り、温度も伝導度も下がることになります。

 

水温は、2012年ごろには3.11の地震の後始末ができて落ち着いたかと見られましたが、2013年以降、+ 0.13度/年の率で上昇し、2017年末ごろ下降、また少し上昇。

 

電気伝導度は、2017年頃に上昇があり、2019年6月18日山形県沖地震(M6.7)後、また上昇。

最近では、2021年6月中頃、水温が約0.5℃上昇し、現在2009年頃の高い値に戻っています。電気伝導度も上昇傾向。

 

 

 

 

 

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