2024年8月8日日向灘の地震 (M7.1)と
広域の地震活動について
佃 為成
2024年8月8日16:43、日向灘でM7.1の地震。宮崎県で震度VI弱。プレート境界の滑り(逆断層)。今回、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発表されました(この制度が2019年に発足して初めて)。
4ヶ月ほど前、2024年4月17日深夜、豊後水道で強く曲げられたプレート内で引っ張り力によるM6.6の強震がありましたが、この時は、検討に入る基準M6.8を下回ったため、臨時情報なし。
さて、昭和の東南海地震(1944年, M7.9)・南海地震(1946年, M8.0)の後、南海トラフ巨大地震発生域の主な地震活動を眺めてみたいと思います。昭和の巨大地震の余震が収まってきた1949年以降のM≧7.0とM≧6.5の地震分布を示します。
南海トラフ沿いのM7クラスの地震は、日向灘と紀伊半島沖に限られています。紀伊半島沖で、今から20年前の2004年9月にM7.1,M7.4の地震が連発しました。この地震はプレート内部で押しの力で起きました。これらの地震の前後で、紀伊半島南部の古座川観測点での温泉の水温変化の様子が一変しました。地震後、水温は大きく脈を打つようになっています(下のグラフ)。
M≧6.5の地震を見ますと、駿河湾でも2009年にM6.5の顕著な地震がありました。その近くで2011年にM6.2の地震も発生しています。
日向灘は地震が多いですね。さらに2016年には紀伊半島沖でM6.5。なお、伊豆半島付近の地震活動は1974~1990年ごろ活発でした。
2022.1.26
2022年1月22日日向灘北部の地震 (M6.6)について
佃 為成
潜り込むフィリピン海プレート内で、2022年1月22日 01:08、豊後水道南端付近の日向灘でM6.6, 深さ(h)45kmの地震が発生しました。
大分県で、震度V強を記録しました。
まず、安芸灘から日向灘までの地域の約100年間の震源分布(M>=6.0)を示します。M7を越える大きな地震は宮崎県沖の日向灘で発生しています。
豊後水道・安芸灘付近では2001年3月24日の芸予地震(M6.7)が最大です。
今回の地震の震源地は日向灘となっていますが、地震発生のメカニズムを考えると、豊後水道の地震のグループに入れた方がいいと思います。
さて、プレート内で発生する微小地震の震源分布(1995-2001年頃)を次に示します。長方形で囲んだ領域の部分の震源の深さ分布が示されています。
瀬戸内海安芸灘辺りから豊後水道、日向灘にかけて、フィリピン海プレートは、強く曲げられ急角度で潜り込んでいます。
豊後水道付近では、深さ100km辺りは垂直近くになっています。プレートを曲げる力の考察から、九州方面から強く押されていると推定されました。
雲仙、阿蘇、久住、霧島、桜島の火山では物質の上昇があり、地表付近にそれがやってくると横へ広げようとするわけです。その力が作用しています。
曲げられたプレートの内部は引っ張りの力が働き、正断層の地震を起こします。今回の地震も、2001年芸予地震もそうでした。プレート内の比較的浅い地震の多くは正断層型です。一方、日向灘の大きな地震はだいたいプレート境界の逆断層です。
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(図の作成は東大地震研究所TSEIS web版の気象庁データJMA_PDEを使用)
(図の作成は東大地震研究所TSEIS web版の気象庁データJMA_PDEを使用)
上図は以下の論文より:
佃 為成・三浦勝美,2001年芸予地震とプレートの曲げモーメント,地震2,55, 91-96, 2002