2018.2.24
2018年台湾花蓮地震と
沖縄トラフの地震活動
佃 為成
駿河湾から九州東方沖に延びる南海トラフは巨大地震の巣で、これは九州沖で琉球海溝(南西諸島海溝)につながります。確率は小さいけれども南海トラフと琉球海溝にまたがる超巨大地震も考えられ、南西諸島に大津波を起こす巨大地震も要注意です。
今月、台湾で花蓮地震(2018.2.6 M6.7)が発生し、ホテルのビル倒壊など大きな被害を出しました。前震活動もありました(最大地震 2018.2.4 M6.5)。
南海トラフと琉球海溝ではフィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込んでいます。台湾の南では逆に、ユーラシアプレートがフィリピン海プレートへ潜り込んでいます。台湾はその繋ぎの領域です。潜り込もうにも潜り込めないで、盛り上がった大きな島になっています。
琉球海溝が台湾にぶつかるところで花蓮地震が発生しました。横ずれの断層を造った地震のようです。この地震発生の前後で沖縄列島などの南西諸島一帯で地震を起こす力(応力)が高まっているかを調べます。地震を起こす応力が高まると岩盤の弱いところで小さな地震を沢山発生させる現象が群発地震です。諸島の北西側の沖縄トラフには群発性の浅い地震がよく発生しますが、台湾花蓮地震の発生に呼応して、徳之島西方沖で群発地震が起きています。現在も活動が続いています。
まず、2018年初めから現在までの琉球海溝や沖縄トラフの地震活動(震源分布)を示します。沖縄トラフは琉球海溝や南西諸島の背後で岩盤が拡大していて、そのためトラフ(浅めの海溝)ができています。そのトラフ沿いには、かたまった浅い地震群が並んで見えます。その地震活動を調べたところ、徳之島沖の地震活動が目に付きました。
その群発地震活動の時間変化を見てみます。横軸は時間、縦軸は地震の回数の積算値です。時間がたつと地震の数は増えていきます。急に増え始めたのは花蓮地震(2018.2.6 M6.7)発生の頃です。現在でも高い増加率で地震が発生し続けています。やはり、台湾だけでなく奄美地域でも応力の高まりが生じているようです。
(台湾の地震のマグニチュードM については、いろいろな値が公表されていますが、ここでは気象庁が決めた値を示しました。
図の作成は東大地震研究所TSEISのweb版の気象庁データ、JMA_PDEを使用)