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                       2020.1.10

       前震とは?

 

                        佃 為成

 

 大地震が起こる直前、その地震の震源域付近でその地震より小さい地震が群れをなして発生することがあります。これは前震といいます。大地震の前に付近で発生する地震は1発でも前震と呼べますが、1発の場合は、大地震の前にこれが前震かをどうか判定することはできません。

 

 どのような場合に、事前に前震だと判断して大地震に備えることができるのでしょうか。有力な情報としては、地震の群れの統計的な性質が第1に上げられます。地震が群れをなす場合、その中で、大きい地震の数と小さい地震の数には平均的にある統計法則が成り立ちます。普通は、マグニチュードが1つ小さくなると、数は約10倍です。ところが、前震になる地震は、例えば、これが3倍ぐらいになっているのです。さらに、その前震らしい地震群が発生した場所が、大地震発生の起こりそうな場所(例えば、ある活断層の付近)と分かっていたら、確からしさが増強されます。

 

 このような性質をもつ地震群が発生して、実際の大地震発生に至るケースは過去の大量の蓄積データを調べることにより確率の値を計算できますが、だいたい1割程度であることが分かっています。

 

 このような専門的知識がなくても現象をよく観察し、自分の経験も加味して、これは前震、つまりこれから大きな地震がやってくるのではないかと判断できる場合があります。その実例を以下に示します。

 

 1995年1月17日の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震 M7.3)では、前の日の午後、突き上げるような有感地震が連発したのです。淡路島の北淡町(当時)のある漁師のおかみさんは、亭主が漁に出ていて、家の留守をまもっていました。感じたこれらの地震は、今までに経験したことのないドーンと地面を突き上げるタイプの地震で、もっと大きいのが来るかもと判断し、普段は2階にいる子供たちを1階に集め一緒に寝たということです。そして、早朝の地震時、暗闇の中でもまとまって外へ避難できたのです。「~ちゃーん」と2階の子を呼んでいたら避難が遅れて家の中で瓦礫の下敷きになったかもしれません。普通の地震ではないと判断し、大地震を予知したことになります。

 

 その前震と思われる地震は、本震の約半日(11時間)前から発生しました。最初は1月16日18時28分(M3.6)、続いて18時49分(M2.5)、18時55分(M1.5)、23時49分(M2.1)です。これは当時、京都大学防災研究所が発表したデータです。これらの震源は明石海峡の本震の震源付近に集中しています。これらの地震は長い間あまり地震がなかった所で発生しました。したがって、その発生は異常な現象と言っていいでしょう。

 

 上図は気象庁のデータ(1922.1.4-1995.1.17)に基づくM3.0以上の地震の震央分布です。明石海峡の兵庫県南部地震M7.3の本震や直後の余震がプロットされています。下図は兵庫県南部地震発生の前日、1日間のM1.0以上の震央分布です。京都大学の報告より数が1つ少ないです。当時の観測能力の差でしょう。ところで、図にプロットされた地震は深さ(H)は30kmより浅いものに限っています。図の作成には東京大学地震研究所のTSEIS web版を使用しました。

前震とは200111-1.jpg
前震とは200111-2.jpg
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