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              2019.1.11

2019.1.3熊本県北部の地震(M5.1)について

 

                         佃 為成

 

2019年1月3日18:10に熊本県玉名郡和水町(なごみまち)で直下地震(M5.1, 深さ10km)が発生しました。震度は最高6弱。

 

過去約90年間の中九州でのマグニチュード(M)が5.0以上の地震の分布をご覧ください。太丸で示した震央(震源の水平位置)は熊本地震の本震のものです。今回の地震は普段は地震が少ないところで発生したことが分かります。

 

一方、少し小さいM4.0以上の分布を見ると、福岡県南部の筑紫地域から有明海にかけた地域はある程度の地震活動域を形成しているようです。

 

次に、中九州のM4.0以上の地震の積算回数のグラフもご覧ください。この時間とともに上昇する曲線のグラフは、地震が発生するたびに回数を1つ増加させて時間順にプロットして作ります。地震発生頻度が高いと、増加曲線の傾きが大きくなります。

 

大きな活動時期として、1968年から1975年にかけての時期と2016年以降が浮かび上がります。この時期には1968年に宮崎県えびの地域の群発地震、1975年に阿蘇地域、大分県中部でM6クラスを含む地震活動がありました。2016年の急上昇は熊本地震の余震のせいです。

 

2016年熊本地震(M7.3)は、主な前震(2016.4.14 21:26 M6.5,  4.15 00:03 M6.4)は日奈久断層付近、 本震(2016.4.16 01:25 M7.3)は布田川断層付近で発生しました。

日奈久断層や布田川断層の少し北、熊本城の近くを通る立田山断層付近にも余震が発生しました。その北の熊本県北部地域では地震活動は熊本地震の前も後も低調です。

 

和水町の地震(2019.1.3 M5.1)の発生地域のもっと詳しい解析については、この解説の続編でお話します。

 

(図の作成は東大地震研究所TSEISweb版の気象庁データ、JMA_PDEを使用)

         

 

              2019.1.11

2019.1.3熊本県北部の地震(M5.1)について

(つづき)

 

                         佃 為成

 

2019年1月3日18:10に熊本県北部の玉名郡和水町(なごみまち)で発生した直下地震(M5.1, 深さ10km)についての続編です。

 

中九州のM4.0以上の地震分布から福岡県南部の筑紫地域から有明海にかけた地震活動域(分布図の長方形A)を考察します。高感度地震計網が整備された最近19年間のM1.0以上の地震の分布と積算回数のグラフをご覧ください。

 

地震がまとまって発生しているところが多々あります。しかもだいたい線状に分布しています。震源分布図のXで記した地点が本震(M5.1)の震源です。余震は東南東方向に伸びています。端から端までの長さがおよそ3km。この地震によって、西北西から東南東へ伸びる鉛直面をなす亀裂(断層)が生成されたと推定されます。横ずれ断層です。ちなみにM4.0ぐらいの地震では長さがだいたい1kmです。大きめの地震が起こると小さい地震を余震として多数伴いますから、断層の姿が見えてきます。

 

積算回数のグラフで2005年福岡県西方沖地震(M7.0)の後、発生頻度が鈍っています。北の地域の大きな地震によって、当該地域の地震を起こす力(応力)が緩和されたと解釈できます。2016年の熊本地震後に少し活発になったように見えますが明瞭ではありません。

 

(図の作成は東大地震研究所TSEISweb版の気象庁データ、JMA_PDEを使用)

2016年熊本地震の意味

                        

         2016.4.21

         佃 為成

 

 鹿児島県薩摩半島西方沖から天草、八代、熊本、阿蘇、大分に伸びる地震活動域を考えます。「中九州活動域」と仮に名付けておきます。この約6年間の地震活動を眺めましょう。

 2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)の後、地震発生率が増加しました。一方、この活動域の東、四国、中国、近畿、東海の領域はM9.0地震の震源域に近いにも関わらず、その地震後、発生率はむしろ減少していました。

 「中九州活動域」では、2015年初めに小さい地震の発生率がやや低くなり(地震活動静穏化)、約半年後の2015.11.14に薩摩半島西方沖地震(M7.0)が発生しました。2016年2月に入るとその発生率が増加し、4月からの大地震となったのです。

 

 小さい地震の活動が2011年のから活発化し、2015年の半年間の静穏化、そして2ヶ月前からの活発化を経て現在、大地震の地震活動があるのです。このように、大きな活動の前の小さい地震の活動変化が認められます。前兆現象と言っていいでしょう。

 

 一方、今回の「中九州活動域」地震活動(2016.4.14 21:26 M6.5、4.15 00:03 M6.4、2016.4.16 01:25 M7.3)は、南海トラフの巨大地震や超巨大地震の前兆的な現象の1つである可能性があります。21年前の1995年兵庫県南部地震(M7.3)、2000年鳥取県西部地震(M7.3)、2001年芸予地震(M6.7)、2005年福岡県西方沖地震(M7.0)もそうです。2016年の活動はこれまでの最大級です。

 

 海溝型巨大地震前の数10年間、その後の数10年間にプレートの上盤の内陸部で大地震が頻発することが歴史上知られています。熊本に続くのは内陸の大地震か、あるいは海溝の巨大地震が先か、両方に備える必要があります。近畿地方は10数年前から様々なサインが見つかっています。南海トラフの海溝付近やその近傍でも2004年、2009年、2016年に気になる地震が発生し、浜名湖付近直下では現在、スロースリップが進行中です。

 

 

 

 

 地震の震源分布と地震積算回数・地震発生率(頻度)

 地震の発生率変化は地震の積算回数のグラフを作って眺めます。グラフの作り方は次のようです。地震が起こるたびに”豆”を一粒づつ箱に入れます。時間が経つと”豆”の数が増えてまいります。その数をグラフに表すのです。横軸が時間、縦軸が”豆”の数、すなわち地震の数。積算回数のグラフの線は右肩上がりです。地震発生率(発生頻度)は線(カーブ)の傾きです。傾きが大きいということは率が大きいことです。発生率ゼロ、すなわち地震が全く起こらなくなると、線の傾きがゼロすなわち横一直線になります。発生率が非常に低いとき、地震活動の静穏化と云います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

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