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​2026.8.5

 

2016年と2026年の熊本地震をどう理解するか?

(1) 熊本県、福岡県、大分県一帯の地震活動

                  佃 為成

 

 2026年7月28日にM7.1の大地震が熊本県で発生しました。2016年の熊本地震(M7.3)の地震から約10年でまた大地震です。

 

これらの地震は地球表面近くの地殻上部に存在する活断層帯で発生しています。そもそもこの活断層帯とは何か? 九州のその地域に存在する活断層はどんなものなのか? 地震の震源断層は、断層帯に沿った横ずれ断層です。

 

そもそもこのような地震が発生するのは、地殻上部に水平方向に強い力が働いているからです、

 

九州の島には、宮崎県沖の日向灘やその北の豊後水道あたりでフィリピン海プレートが潜り込んでいます。だいたい東西方向に九州を押しています。この力が強いので、九州の上部地殻には南北方向より強い東西の力が働いています、このような状況では、強い力の方向に対してだいたい45゜の方向にずれの力が働きます。このような様子は、コラボNo.3のp.42  に解説があります。

 

ずれの力が強い方向は、北東- 南西方向と、北西- 南東方向になります。2016年の熊本地震のときは、北東- 南西方向のずれを起こしたのです。その場所は布田川断層帯と呼ばれています。何千年、何万年間隔で大地震が発生した領域です。その痕跡が地形や地層に刻まれていて、それを活断層と呼んでいるのです。

 

ここで、コメントです。上述したような目立つ大きい活断層だけでなく、方々で小さい活断層が多数見つかっています。地球表面は傷だらけです。

2026年の熊本地震はその延長にあたる日奈久断層帯に当たります。

一方、北西- 南東方向の断層もあります。福岡県の警固断層の所で2005年の福岡県西方沖地震(M7.0)が起きました。

右には、およそ100年間の主な地震活動を示しています。マグニチュードが6.0より大きい地震には発生日付などが記されています。

 

右下の図は、地震発生時期とその規模(M)を示しています。

 2026.8.5

2016年と2026年の熊本地震をどう理解するか?

(2) 2016年の熊本地震

 

                         佃 為成

 

 2016年4月14日にM6.5の地震が日奈久断層の北端で発生しました。震源地に近い所では震度7でした。多くの人は、これが本震で、あとにはこれより小さな余震が続くだろうと考えたと思います。

しかし、2日後、2016年4月16日、さらに規模の大きな地震(M7.3)が発生し、再び震度7の強い揺れが被災地を襲いました。この地震は日奈久断層に繋がる布田川断層に沿ったずれ破壊を起こしたのです。その破壊の影響は阿蘇山の地域にも及びました。

 2016年の熊本地震には、もう一つ注目すべき物語があります。それは、この地震の16年前の2000年6月8日にM5.0の地震があったことです。有感の余震も多数発生しました。その震源は何と、2016年4月14日の地震(M6.5)が発生した日奈久断層北端でした。余震の震源の並び方は日奈久断層に沿っています。

 熊本大地震の前触れが16年前に現れていたのは驚きですが、私はこう考えています。

 長年の東西圧縮の力によって、ずれ破壊を起こさせてきましたが、繰り返し大きな地震が発生して、癖になった場所が日奈久断層・布田川断層付近です。この地帯は岩盤の歪みも大きいです。そこに溜まった歪エネルギーを解放する試みが、2000年に開始されたのです。

ところが、日奈久・布田川の断層帯に直交する警固断層付近で、2005年の福岡県西方沖地震 (M7.0) が発生し、そのため、熊本付近の歪みが少し緩和され、大地震が発生する時期が遅れたのではないか。福岡の地震がなかったら、熊本地震はもっと早く発生していたかもしれないのです。

 M7.3の地震の後、その余震活動は日奈久断層の南の方にも広がっていました。岩盤の歪み解消のためならば、南部の日奈久断層でも地震を起こしてしかるべきです。その物語は次の報告 (3) にて。

 

 

 

            2026.8.5

2016年と2026年の熊本地震をどう理解するか?

(3) 2026年の熊本地震

 

                         佃 為成

 

 2026年7月28日にM7.1の大地震が2016年の熊本地震(最初の地震M6.5, 最大規模の地震M7.3)から約10年でやってきました。2016年4月からの地震活動を見ていると、5月になって、天草・芦北地方で群発性地震が発生しました。これを受けて「大地震の前震活動の可能性あり」として注意情報を発信しました (コラボNo.2, p.55)。

 その根拠は以下の通りです:

1) 活断層が存在(大地震の履歴あり)。

2) 地震活動長期静穏化(地震の空白域を形成)。空白域形成や静穏化が前兆現象の一種。

3) 前震は群発性(親分の地震が複数)の場合が多い。

  1995.1.17 兵庫県南部地震(M7.3)  や  2016.4.16 熊本地震(M7.3)の場合もそうだった。

その時の芦北付近の主な地震(気象庁の速報)

2016.5.10 04:41 M3.5

2016.5.10 05:06 M3.3

2016.5.10 05:07 M3.2

 注意情報:数日間は注意!!

 しかし、1週間経っても大地震は発生しなかったので、「注意情報解除」を発しました。

 その地震が約10年後にやってきたのです。2016年4月14日のM6.5の地震の震源付近から日奈久断層沿いに亀裂が延びました。

 震度7などを記録した最大の被災地は熊本市の南、宇城市、氷川町、八代市などです。

 日奈久断層の南部にはまだ震源断層は拡大していませんが、いずれ次の大地震発生を覚悟しておくべきです。八代から水俣にかけたゾーンです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2026.2.10

 

2025年11月25日熊本県阿蘇地方の地震 (M5.8) について その(1)

 

                佃 為成

 

 

2025年11月25日 18:01、熊本県阿蘇地方でM5.8, 深さ(h)9kmの地震が発生しました。この地域は2016年熊本地震(M7.3)の余震域でありましたが、久しぶりの顕著地震でした。

 

2016年熊本地震の前にも、阿蘇地方には

1975.1.22 13:40 M5.5 h0km

1975.1.23 23:19 M6.1 h0km

1975.1.24 02:57 M5.1 h0km  

などの地震が発生したことがあります。その時期、近隣の大分県中部には

1975.4.21 02:35 M6.4 h0km (1975年大分県中部地震)が発生しています。

    

 

まず、この地域の過去の地震活動を振り返ってみましょう。震央図で示します。震源の深さは20km未満です。2016年4月より古い時期と2016年4月から2025年10月までの、2016年熊本地震を含む活動を分けて示します。

 

古い時代はM3.0以上の地震、2016年以降はM2.0以上の地震をピックアップしました。

 

2016年熊本地震以前にも、熊本地震の余震域となる地域 (布田川-日奈久断層帯近傍) には微小地震活動が存在しました。周辺では、2005年の福岡県西部沖地震 (M7.0) が目立ちます。

 

熊本地震(M7.3)の直前の前震としては、2日前にM6.4の地震がありました、実は約16年前の2000年6月ごろ、熊本地震の本震の近傍でM5.0を本震とする地震活動がありました。

 

震央図にF(前震:foreshock)と記した地震のクラスターです。これはM7.3地震の長期的に見た前震活動です。熊本地域の岩盤に緊張が走ってきたことを示しています。

 

2005年に福岡でM7.0の地震が発生したので、熊本地域の岩盤の緊張が少し弱まり、熊本地震発生がさらに11年延びたのでしょう。

熊本地震のもっと詳しいことについては、コラボNo.2 のコラム記事や解説情報の記事をご覧下さい。

                          

 

 

2026.2.10

2025年11月25日熊本県阿蘇地方の地震 (M5.8) について その(2)

 

 

                佃 為成

 

 

2025年11月25日 熊本県阿蘇地方の地震 (M5.8) とその余震についての図を示します。

 

右側上の図は2025年11月から2026年1月までの地震の震源分布。下の図は、その活動の時間変化を示すM-T図です (図の作成は東大地震研究所TSEIS web版の気象庁データJMA_PDEを使用)。

 

震央分布の図に点線で囲った領域があります。これは、2016年熊本地震(M7.3)の余震域です。阿蘇の地震(M5.8)は、熊本地震の余震域の中で発生しているのが分かります。M5以上の余震は、2016年8月31日以来およそ9年ぶりです。

 

熊本地震の余震は大分県へも延びていましたが、今回の地震活動も1部、大分県の領域に達しています。

 

2025年11月の地震活動の震源分布を見ると、震央の広がりはさしわたし2kmぐらいですが、垂直方向に5kmほどに延びています。気象庁の発表によると、北北西-南南東方向に張力(引っ張り)軸をもつ横ずれ断層を生成しました。すなわち断層面は垂直に立っています。

 

今回の地震は2016年のM7.3の地震から約9年も経っているのですが、実は、M7.3地震の余震の最大クラスです。

 

統計データによりますと、最大余震のMは本震よりだいたい1小さいのです。ですから、熊本地震の場合は、M6.3ぐらいが最大余震のはずですが、今回の阿蘇の地震をもってしても、未だに発生していないことになります。この先、発生するでしょう。

 

但し、熊本地震の場合は2日前のM6.4の前震が、いわゆる最大余震の代わりなのかもしれません。

              2019.1.11

2019.1.3熊本県北部の地震(M5.1)について

 

                         佃 為成

 

2019年1月3日18:10に熊本県玉名郡和水町(なごみまち)で直下地震(M5.1, 深さ10km)が発生しました。震度は最高6弱。

 

過去約90年間の中九州でのマグニチュード(M)が5.0以上の地震の分布をご覧ください。太丸で示した震央(震源の水平位置)は熊本地震の本震のものです。今回の地震は普段は地震が少ないところで発生したことが分かります。

 

一方、少し小さいM4.0以上の分布を見ると、福岡県南部の筑紫地域から有明海にかけた地域はある程度の地震活動域を形成しているようです。

 

次に、中九州のM4.0以上の地震の積算回数のグラフもご覧ください。この時間とともに上昇する曲線のグラフは、地震が発生するたびに回数を1つ増加させて時間順にプロットして作ります。地震発生頻度が高いと、増加曲線の傾きが大きくなります。

 

大きな活動時期として、1968年から1975年にかけての時期と2016年以降が浮かび上がります。この時期には1968年に宮崎県えびの地域の群発地震、1975年に阿蘇地域、大分県中部でM6クラスを含む地震活動がありました。2016年の急上昇は熊本地震の余震のせいです。

 

2016年熊本地震(M7.3)は、主な前震(2016.4.14 21:26 M6.5,  4.15 00:03 M6.4)は日奈久断層付近、 本震(2016.4.16 01:25 M7.3)は布田川断層付近で発生しました。

日奈久断層や布田川断層の少し北、熊本城の近くを通る立田山断層付近にも余震が発生しました。その北の熊本県北部地域では地震活動は熊本地震の前も後も低調です。

 

和水町の地震(2019.1.3 M5.1)の発生地域のもっと詳しい解析については、この解説の続編でお話します。

 

(図の作成は東大地震研究所TSEISweb版の気象庁データ、JMA_PDEを使用)

         

 

              2019.1.11

2019.1.3熊本県北部の地震(M5.1)について

(つづき)

 

                         佃 為成

 

2019年1月3日18:10に熊本県北部の玉名郡和水町(なごみまち)で発生した直下地震(M5.1, 深さ10km)についての続編です。

 

中九州のM4.0以上の地震分布から福岡県南部の筑紫地域から有明海にかけた地震活動域(分布図の長方形A)を考察します。高感度地震計網が整備された最近19年間のM1.0以上の地震の分布と積算回数のグラフをご覧ください。

 

地震がまとまって発生しているところが多々あります。しかもだいたい線状に分布しています。震源分布図のXで記した地点が本震(M5.1)の震源です。余震は東南東方向に伸びています。端から端までの長さがおよそ3km。この地震によって、西北西から東南東へ伸びる鉛直面をなす亀裂(断層)が生成されたと推定されます。横ずれ断層です。ちなみにM4.0ぐらいの地震では長さがだいたい1kmです。大きめの地震が起こると小さい地震を余震として多数伴いますから、断層の姿が見えてきます。

 

積算回数のグラフで2005年福岡県西方沖地震(M7.0)の後、発生頻度が鈍っています。北の地域の大きな地震によって、当該地域の地震を起こす力(応力)が緩和されたと解釈できます。2016年の熊本地震後に少し活発になったように見えますが明瞭ではありません。

 

(図の作成は東大地震研究所TSEISweb版の気象庁データ、JMA_PDEを使用)

2016年熊本地震の意味

                        

         2016.4.21

         佃 為成

 

 鹿児島県薩摩半島西方沖から天草、八代、熊本、阿蘇、大分に伸びる地震活動域を考えます。「中九州活動域」と仮に名付けておきます。この約6年間の地震活動を眺めましょう。

 2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)の後、地震発生率が増加しました。一方、この活動域の東、四国、中国、近畿、東海の領域はM9.0地震の震源域に近いにも関わらず、その地震後、発生率はむしろ減少していました。

 「中九州活動域」では、2015年初めに小さい地震の発生率がやや低くなり(地震活動静穏化)、約半年後の2015.11.14に薩摩半島西方沖地震(M7.0)が発生しました。2016年2月に入るとその発生率が増加し、4月からの大地震となったのです。

 

 小さい地震の活動が2011年のから活発化し、2015年の半年間の静穏化、そして2ヶ月前からの活発化を経て現在、大地震の地震活動があるのです。このように、大きな活動の前の小さい地震の活動変化が認められます。前兆現象と言っていいでしょう。

 

 一方、今回の「中九州活動域」地震活動(2016.4.14 21:26 M6.5、4.15 00:03 M6.4、2016.4.16 01:25 M7.3)は、南海トラフの巨大地震や超巨大地震の前兆的な現象の1つである可能性があります。21年前の1995年兵庫県南部地震(M7.3)、2000年鳥取県西部地震(M7.3)、2001年芸予地震(M6.7)、2005年福岡県西方沖地震(M7.0)もそうです。2016年の活動はこれまでの最大級です。

 

 海溝型巨大地震前の数10年間、その後の数10年間にプレートの上盤の内陸部で大地震が頻発することが歴史上知られています。熊本に続くのは内陸の大地震か、あるいは海溝の巨大地震が先か、両方に備える必要があります。近畿地方は10数年前から様々なサインが見つかっています。南海トラフの海溝付近やその近傍でも2004年、2009年、2016年に気になる地震が発生し、浜名湖付近直下では現在、スロースリップが進行中です。

 

 

 

 

 地震の震源分布と地震積算回数・地震発生率(頻度)

 地震の発生率変化は地震の積算回数のグラフを作って眺めます。グラフの作り方は次のようです。地震が起こるたびに”豆”を一粒づつ箱に入れます。時間が経つと”豆”の数が増えてまいります。その数をグラフに表すのです。横軸が時間、縦軸が”豆”の数、すなわち地震の数。積算回数のグラフの線は右肩上がりです。地震発生率(発生頻度)は線(カーブ)の傾きです。傾きが大きいということは率が大きいことです。発生率ゼロ、すなわち地震が全く起こらなくなると、線の傾きがゼロすなわち横一直線になります。発生率が非常に低いとき、地震活動の静穏化と云います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

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