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 浜名湖スロースリップ解説

 

                                   2015.12.25

               

                                         佃 為成

 

 2013年初めから、東海地方浜名湖直下の深さ20~30kmでプレート境界のゆっくりしたすべりが起こっていると推定されていますが、2001年頃から2005年にかけても同じような現象が観測されています。

そのときの資料が図1です。

 

 太平洋の岩盤(プレート)が東方から日本列島に押し寄せていて、列島はほぼ東西に縮んでいます。地表岩盤の動きをGPS(いくつかの人工衛星の電波を受けて地面の位置を測るシステム)で調べると、図1の右下のような矢印で示されるような各地点の動きが見えます。

 

 1998年から2000年の期間の動きですがこれを平均的な動きと考えます。一方、2001年から2005年にかけての動きから平均的な動きを引き算してみたのが図1のトップです。浜名湖の真下のあたりでは、矢印が平均的な動きとはほぼ反対の北西から南東になっています。

 

 

 南海トラフから潜り込んでいるフィリピン海プレートと陸側のプレートの境界付近でねじれを起こしていることが想像されます。

 プレート境界で約5年間、ゆっくりしたずれ(すべり)を起こしたときの地表の動きを計算し、観測と比べると差し渡し100kmの広さの面で最終的に平均20cmのずれ(食い違い、すべり、スリップ)があったとすると説明できるのです。

 

 

 実際にすべりがあったかは分かりません。滑らずくっついたまま、ねじれを起こすモデルも考えることはできます。私なんか、何十キロの広大な断層面(キレツ)で僅か20cmぐらいのすべりなんて、本当に起こり得るのか疑問に思います。ねじれただけではないかと。

 

 問題は、このねじれがどんどん強くなると、岩盤も耐えられなくなって、限界の強度を越え、浜名湖直下でずれ破壊、すなわち地震が起こり、そしてその破壊が、かねてから歪みが蓄積していた他の地域への波及、つまり大地震になる可能性があります。いわゆる東海地震のスタートの1つのシナリオです。

 

 さらなるシナリオは、東海地震をきっかけにして西方の東南海や南海へ拡大すればM9レベルにもなり、さらに日向灘や琉球海溝へ波及すればもっとでかい地震も起こり得るのです。

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