2023.2.21
最近の北海道北部における地震活動 (5)
(2018.11.1 – 2023.1.31)
高波 鐵夫
北海道北部では、2022年8月11日にマグニチュード5.4の浅い地殻内地震が発生しました。この地域の最近の地震活動の特性については、高波(コラボ, No.5, 2019)によって報告されています。
本報告では、その後の期間(2018.11.1-2023.1.31)の地震活動の特性を解説します。 まず、この期間に発生した地震の震央分布を第1図に示します。
第1図から、今回の顕著な地震は常時地震活動ゾーン最上部の地殻内浅部のクラスター地震の1つです。
第2図はマグニチュードを考慮した地震発生の時間変化を表示しています。その左図から、図1のE1, E2を核としたクラスターに順次移動し、最終的に最も大きなE3のクラスターに至ったのが分かります。右図の地震の積算分布図は、大きなE3の余震活動を示し、今もなお余震活動が活発であることを表しています。
第3図の左図は地震の深さ別頻度分布であり、右図は各地震の発生時間対深さ分布を表しています。左図の5km以浅のピークは主にE3のクラスター活動を示し、これは定常的ではありません。またE3の震源とその余震活動が日頃活動の低い地殻浅部であったのが注目されます。
結語:中川周辺で起こった2022年8月11日の地震M5.4は、常時地震活動ゾーンの上側で起こり、その後の活動レートは現在も継続しています。
謝辞:地震情報は気象庁地震カタログに基づき、図化はSeis-PCに拠った.
第1図. 地震の震央分布.深さ0km〜40km,マグニチュード1〜6の地震を対象.深さとマグニチュードの識別は丸のカラー色と大きさで識別。E1〜E3は周辺に発生した顕著なクラスター地震の最大地震の震源情報.
第2図.地震活動の時間変化.左図:マグニチュードを考慮した地震発生時系列(M―T分布).
第3図. 深さを考慮した右図:地震発生数の積算時系列(N-T分布).地震活動の時空間分布.