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解説情報

 

北海道胆振地方中東部で発生した地震

 

         2017年7月18日    

 

         高波鐵夫

 

 2017年7月1日23時45分頃、北海道で大きな有感地震がありました。気象庁は、速報として震源地を北海道胆振地方中東部(北緯41.8度、東経141.9度、震源の深さ約30km)、地震の規模(マグニチュード)を5.1と報告しました。この地震によって震源近傍の安平町では震度5弱を感じましたが、筆者が住む札幌でも震度4の大きな揺れを感じました。引き続き、この地震後2週間に安平町で震度3の揺れを1回、震度2の揺れを2回感じています。これらがもっと大きな地震の前震か否かはわかりません。しかし、今も余震活動は続いていますのでその推移をしばらく見守る必要があるでしょう。

 

 そこで、まず地震発生直後の予備的調査として、本震—余震を含む2017年1月1日から7月14日までの地震活動を調べてみました。その結果を第1図と第2図で図示しています。この地震の震源域(余震分布)はほぼ南北に走る石狩低地東縁断層帯南部(第1図の枠内地図参照)の馬追丘陵付近に位置しています。このことから推して、この細長い丘陵地形と関係がありそうです。この石狩低地東縁断層帯南部は、千歳市から勇払郡安平町、苫小牧市、勇払厚真町を経て、沙流(さる)郡日高町沖合の海域に至る断層帯で、長さは54km以上と推定されています。この活断層は東西圧縮によって東側が西側に対して相対的に隆起する逆断層タイプです。

 そこで既に公開されている今回の地震のメカニズム解を防災科学技術研究所が発行しているAQUAシステムメカニズム解カタログから参照すると、見事に既存の地形断層から推定されたメカニズム解とほぼ調和した、東西圧縮による逆断層タイプでした。断層パラメータの詳細はAQUAシステムメカニズム解カタログを検索し、確認してください。

 

 ところで、政府地震調査研究本部からは、石狩低地東縁断層帯南部の平均的な上下方向のズレの速度は、0.2m/1000年程度の可能性が指摘されていましたが、最新活動時期を含めた最近の活動履歴については不明でした。また日本全土に展開されている新たな高感度地震観測網にもこの種の地震はほとんど検出されていませんでした。

 以上の活動背景を考慮すると、今回の地震が石狩低地東縁断層帯南部で起こった大変珍しい地震であったということになります。一方、政府地震調査研究本部によれば、信頼度は低いのですが、この断層帯全体が1つの活動区間として活動した場合、マグニチュード7.7程度の地震が発生する可能性があり、今後30年の間にこの程度の大きな地震が発生する確率は0.1%〜3%未満のやや高い活断層グループに属することになっています。されど今回のようなマグニチュードの地震はこれからも時々起きる可能性は高いと考えたほうが良さそうです。

 

 最後に、地震活動の可視化には東大地震研究所のTSEISを利用しました。また第1図の断層マップは政府地震調査研究推進本部のウエップサイトからの転載、地震メカニズム解は防災科学技術研究所のAQUAシステムメカニズム解カタログを参照しました

 

 

 

 

 

 

 

 

第1図. 石狩低地帯周辺で発生した浅発地震の震央

第2図.石狩低地帯周辺で発生した浅発地震の積算

7月1日23時頃、安平町付近(第1図四角枠)で発生した地震の余震活動が観察される。

期間:2017/1/1~2017/7/14、深さ:0~40km、M(マグニチュード):0~5.1

 

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