2025.3.27
和歌山県南紀潮岬付近の上下変動
--- 2005年1月1日から2024年12月31日まで ---
佃 為成
南紀観測報告(2025.3.26)の潮岬における地下水位は長期的に9.5cm/年の割で上昇していましたが、最近は停滞しています。
これは、熊野灘の南海トラフから北西方向へフィリピン海プレートが潜り込んでいて、この潜り込むプレートに引きずられて紀伊半島南端の潮岬の地面はどんどん沈下していくと考えられます。そのスピードが最近低下してきたことを示しています。
今度は、地面の上下変動をGPSの測定データから検証してみましょう。
解説情報(2025.1.6 )では、掛川に対して、御前崎の地面の高さがどのように変化しているかを、国土地理院のGPSデータ(GNSS)で示しました。
2005年から2020年頃まではほぼ直線的に0.671cm/年の率で降下しています。それが、2020年頃から減少率は、その半分ぐらいの0.386cm/年の率に減少しています。
ここで、スピードの値が大きく違いますが、測地データの場合は、ある基準点に対する相対的な変化を表しています。それに対し、地下水の水位変動は、その場の上下動を表しています。
基準点も沈下して行きますので、測定点はそれに対してさらに沈下しているのです。
今度は、潮岬(串本)に対して同じような考察を試みます。図の国土地理院のGPSデータは、三重県紀宝町鵜殿に対する串本の地面の高さの違いの時間変化を見ています。
2016年ごろから沈下の速度が-0.55cm/年から-0.42cm/年に変化しています。
参考までに、四国の室戸岬についてのグラフも示します。高知県安芸市安芸に対する室戸の上下変動です。こちらでは、2021年ごろから沈下のスピードが4割ほど上がっています。
潮岬や東海地方の御前崎のように、最近沈下スピードが小さくなっているのと反対の変化です。
御前崎が遠州灘の東海地震発生域、潮岬が熊野灘の東南海地震発生域についての変動を表していると考えられます。東海地震や東南海地震の発生の前兆の可能性があります。
図(気象庁報道発表 南海トラフ地震関連解説情報について
- 最近の南海トラフ周辺の地震活動 - , 2025.3.7 の図に直線などを挿入 )
