2016年熊本地震の今後
2016.5.9
佃 為成
鹿児島県薩摩半島西方沖から天草、八代、熊本、阿蘇、大分へと伸びる一帯の地震活動域(仮称「中九州活動域」)は、中央構造線に沿い、別府-島原地溝帯、南西方面では沖縄トラフへつながる大変動帯に位置します。活断層も多く、数十万年前から度々大地震を発生させていた場所です。
空間的な地震分布のパターンを確認したら、今度は時間的な活動の関連性を考察します。そして、今後の地震活動を予想したいと思います。
まず、海側と陸側は密接に関係して活動している証拠を示します。
2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)の後の地震発生率増加は、陸側熊本の地域の方がはっきり分かりますが、海側でも増加しています。
海側の2015.11.14に発生した薩摩半島西方沖地震(M7.0)のちょうど5ヶ月後に熊本地震が発生しました。M7クラスが400kmのゾーンの中で立て続けに発生することは珍しいことです。
そして、2016.5.6 (5月6日)から始まった海側の活発化(2016.5.6 14:11 M4.9, 2016. 5.7 14:47 M5.3など)とほぼ同時に陸側熊本地域でも地震回数が増加しています。詳しく述べますと、陸側の地震活動は 5月7日 のM5.3 の活動にはそれほど追随していません。
このように、海側と陸側の活動が時間的にもつながっています。それを踏まえると、現在、地震活動が止まっている熊本県天草地方は、とくに注目すべきだと思います。熊本地震の前震(2016.4.14 M6.5, 2016.4.15 00:03 M6.4)の震源は日奈久断層でしたが、その南西延長に天草が位置します。
熊本地震の今後の活動で注目すべき地域として、当面、まず天草地方、次に熊本市の立田山断層を挙げたいと思います。
*これまでの熊本地震についての報告
2016.4.21 2016年熊本地震の意味
2016.4.22 2016年熊本地震の意味(補足)
2016.4.28 2016年熊本地震の意味(補足2)
2016.5.9 2016年熊本地震の意味(補足3)