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    温泉と地震

 

         

        

                                         2023.8.31

 

         島根県海潮温泉と地震

 

               佃 為成

 

  2000年10月6日に発生した鳥取県西部地震(M7.3)の前、島根県雲南市大東町の海潮温泉3号泉では10月4日に湧出量が激減しました。地震の前日にはほぼ回復し、地震後は白濁したことがわかっています。それを受けて、東京大学地震研究所は、2001年4月、水晶温度計による精密水温観測を開始したのです。

 

  2006年4月、新しい4号泉開設に伴い、3号泉のポンプは稼働停止しました。そのため、水温が以前の34℃前後から徐々に下降し、現在では25~27℃程度になりました。水晶温度計の観測は、機器故障のため2015年12月9日で終了し、2016年11月21日から、白金抵抗体温度計の観測に転換。当初、この器械は、ときどき文字化けというデータ異常が発生しました。その時刻のデータは除いてあります。2019年3月31日以降は正常。

 

  2008年5月12日の中国の四川大地震(2,700km離れています)、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震のような大きな地震のゆっくりした地盤の大きな揺れは、温泉水温の上昇変化を起こします。

 

  温泉水が上がってくる通り道は岩盤内の亀裂の群です。岩盤が揺らされるとどこかの亀裂がぽかっと口を開けて、温泉水が通りやすくなり、地震の後、水温が顕著に上昇するのです。

 

  時間が経過すると、口を開けた亀裂は、また閉じてしまいます。この急上昇した水温が徐々にもとに戻ります。M9.0の地震では元の水温に戻るのに、5年ほどかかりました。

 

  2016年以降の新しい温度計には、2018年4月9日に島根県西部、三瓶山の北西部で発生したM6.1の地震に伴う変化が記録されました。直後の上昇(0.4℃)後、約10日後に元の水温に戻りました。観測点付近の地下岩盤は地震後膨張したものと考えられます。その後水温はだいたい下降傾向です。

 

 註:水晶温度計のセンサーは深さ45mに設置されていましたが、新しい白金抵抗体温度計では深さ25mです。したがって水温は約5℃低くなりますが、計測値に+5℃加算して表示しています。

 

 

 

 

 

    佃  為成           2015.7.18

 

                        

 

 雨が降り、地下にしみ込み地下水を造ります。それだけでなく、深いところの水やガスが上昇して雨水が主体の地下水に混ざります。地球の中、深いほど熱く、そこからの熱い水の混入は地下水の温度を上げます。地下深部の岩盤が圧力変化すると上昇流の量が変化し、それに応じて地下水温が変化するわけです。

 

 

 岩盤には上昇水の通り道があります。非常に狭い関所でできていて、普通は僅かの水しか通しません。中には、上昇水が通りやすい場所があります。それは温泉です。深いところから多量の水がやって来ます。また、深部の水は長い間、周りの岩石と馴染んでいたので、ミネラル成分を多く溶かし込んでいます。

 

 

 温泉水が上がってくる通り道は岩盤内の亀裂の群です。大きな地震が起こり岩盤が揺すられると、どこかの亀裂がぽかっと口を開けて、温泉水が通りやすくなり、地震の後、水温が顕著に上昇します。時間が経過すると、口を開けた亀裂もまた閉じてしまいます。そうして急上昇した水温が徐々に下降をたどります。

 

 

 実際の温泉の水温変化をご覧入れましょう。場所は兵庫県淡路島のぬるゆ温泉と島根県雲南市の海潮温泉です。登場する地震は2008年5月12日の中国四川大地震、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震、2013年4月13日の淡路島の地震です。

 

 

 長期的な変化については、別の機会にお話するとして、今日は地震発生の後の水温変化に注目してください。2008年の四川大地震では、2,700kmも離れた海潮温泉でも顕著な水温変化を示しています。2011年のあの大震災では、海潮温泉はもとより、ぬるゆ温泉(本当にぬるい)でも変化が出ています。2013年の淡路島の地震は規模が小さいので、海潮温泉では見えません。近いぬるゆ温泉の変化をみると、本当はだんだん元の温度に戻るはずなのに、戻りの途中から、それまでよりどんどん温度が上がっています。この原因は地下の岩盤の圧力の上昇です。淡路島は今、地下の状態は異常なのです。

 

 

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