2021.12.23
トカラ列島近海の地震活動
佃 為成
トカラ列島近海の沖縄トラフで群発地震が発生しています。2021年4月と12月の活動が顕著です。
海溝型巨大地震の巣である南海トラフは、九州沖で琉球海溝(南西諸島海溝)につながります。これらの海溝からフィリピン海プレートが沈み込んでいます。
一方、沖縄トラフは琉球海溝や南西諸島の背後で火山活動のため岩盤が拡大していて、そのためトラフ(浅めの海溝)ができています。そのトラフ沿いには、浅い地震群が並んで見えます。
2021年12月9日に発生したM6.1の地震では、トカラ列島内、鹿児島県十島村悪石島で震度V強を記録しました。この地震は沖縄トラフの状況を反映して、その震源断層は岩盤が北西-南東方向に引っ張られて造られました(正断層)。
沖縄トラフでは、2018年に報告(コラボNo.4, p.47)しましたように、その年の2月に徳之島西方沖で群発地震がありました。これは台湾の花蓮地震(2018.2.6 M6.7)に呼応したものでした。
沖縄トラフの地震活動を概観するため、長期の活動を眺めてみましょう。2018年以降の約4年間とそれ以前の約100年間を分けて震央分布図に示しました。最近の群発活動が主に、トカラ列島近海(A)と徳之島西方沖(B)に集中していることを確認するためです。
次に最近の地震活動の時間変化を、横軸に時間(T)、縦軸にマグニチュード(M)のグラフ(M-T図)で示します。活動域AとBそれぞれについて、約4年間(左図)、約1年間(右図)の経過を示しました。
今年、Aの活動は4月と12月、Bでは7月に集中しています。
悪石島と同じくトカラ列島に属する諏訪之瀬島での最近の噴火活動も気になります。この火山活動との関係については今後見守りたいと思います。
参考:
2018年台湾花蓮地震と沖縄トラフの地震活動 2018.2.24 コラボNo.4 p.47
(図の作成は東大地震研究所TSEISのweb版による。気象庁データJMA_PDEを使用)