2021.9.22
発震機構とは?
佃 為成
岩盤に、ある方向は強く、そのほかの方向は弱い力がかかったとします。すると、内部にはねじれの力、あるいは、ずれの力が発生します。
この力に岩盤の粘りが負けると、岩盤内部にずれの亀裂、すなわち断層(震源断層)ができます。急激な断層生成は振動をともなう地震の発生を意味します。
ずれの力は偶力(couple)のモーメントで表現できます。反作用の法則によって、同じ大きさの逆回転モーメントも発生します(2つのcouple: double couple)。
断層の周囲の力によって、震源の周りには岩盤が縮むところと伸びるところができます。縮むところからは押し波が発生し、伸びるところからは引き波が発生します。
この初動と言われるP波の震動が震源からどの方向に放出されるか表したものが震源球の絵です。慣例では震源球の下半球を図示します。
この絵を見て、発震機構(あるいは地震のメカニズム)、つまりどんな力が震源に働いたのか、さらに震源付近にはどんな断層ができたのかが分かるのです。
発震機構に関して、CMT解という表現があります。CMT(Centroid Moment Tensor) とは、震源付近の様々な亀裂(断層)のうち優勢なもの(中心的すなわちCentroid)の断層運動に関わるモーメントを応力の成分(Tensor)で表現したものですが、地震波の解析からCMTを求め、発震機構を導き出したとき、CMT解と言います。
CMT解には、ダブルカップル(double couple) ではない、すなわちずれの力以外に、マグマが亀裂に入り込んだりするときに発生する力などを含む解が得られることがあります(non-double-couple source)。