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2016年熊本地震の意味(補足3)

                                                       2016.5.9

           佃 為成

 鹿児島県薩摩半島西方沖から天草、八代、熊本、阿蘇、大分へと伸びる一帯の地震活動域(仮称「中九州活動域」)が存在します。約50年間の大きな地震(M>6.0)の分布と小さい地震を含めた地震(M>=1.0)の分布をご覧下さい。小さい地震の分布は取りこぼしもあり均等な分布ではありませんが、地震が起こらない領域を際だたせることができます。

 

 地震がよく起こるところが帯状につながっているのが見えます。また、大きな地震も起きないが、小さい地震でさえ起きないところもはっきり分かります。

 次の2点はすぐ分かります。

1) 約400kmにわたって分布がつながっています(仮称「中九州活動域」)。

2) 熊本県天草付近に明瞭な地震の空白域があります。

 

 非常に目立つ空白域の南西の縁が日奈久断層(帯)です。この空白域が大地震を起こす震源域になるのかどうかが大きな問題です。その縁の活断層は横ずれ成分をもちながら南東側が隆起、北西側が沈降する運動をしています。つまり正断層です。断層面が北西側(空白域側)に傾斜していて、この断層で大地震が発生すれば空白域側で多くの余震が発生します。そして空白域が埋まることになります。この空白域が将来の大地震の震源域になり得るのです。

 

 「中九州活動域」は、1000km以上も離れた東北の5年前のM9.0の地震の影響を受けやすいほど、歪が蓄積していて、地震を起こす応力も高まっていました。そして数1000年に1度の大地震が発生しました。熊本地震もまだ安心できません。日奈久断層帯の活動に発展する可能性についても、重々監視を怠らないようにせねばなりません。

 熊本市、熊本城の北西部を走る立田山断層の付近にも地震が多く発生しています。この断層でも、やや大きい地震があるかもしれません。

 

 さらに、南海トラフのプレート境界付近の歪の蓄積も、応力レベルも高まっているはずですので、他地域についても、地震活動変化や種々の地下からのサインに目を配っていきたいと思います。

 

*これまでの熊本地震についての報告

2016.4.21   2016年熊本地震の意味

2016.4.22   2016年熊本地震の意味(補足)

2016.4.28   2016年熊本地震の意味(補足2)

 

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