2024.4.3
千葉県北西部における水温観測
佃 為成
房総半島周辺は地殻の動きが活発です。例えば、千葉県市原市では、今から77.4万年から12.9万年前、海底に堆積した地層が、2020年にチバニアンとして国際学会で認定されました。数十万年の間に海底から地上に隆起したものです。このように活発な地殻変動を示します。
なお、地球の磁場は、N極とS極が度々反転していますが、チバニアンはもっとも最近の反転時期、77万年前の証拠を記録している地層です。
この地域における私たちの最初の観測点が千葉市花見川区犢橋の観測点です。2020年度まで理事を務めていただいた齋藤 宏さんのお宅の井戸です(観測点コードCKH)。井戸の深さは48m、 水位は深さ14m、円筒のパイプが深さ22mまで。
この地点の真下には、東の方から太平洋プレートが潜り込んでいます。そして、南の方からはフィリピン海プレートが潜り込んでいて、深さ約70kmで両プレートがぶつかっています。プレート同士が擦れ合っているところで、しょっちゅう地震が発生します。その地震の巣の図(震源分布)に観測点の位置を示しました。2000.1.1から2024.3.31までの期間に発生したM2.0以上の地震をプロット。
観測器機を設置したのは 2019年11月29日ですが、円筒パイプの中にいくつもの導水管があり、隙間が狭く深さ12.5mまでしかセンサーを挿入できませんでした(空気温度観測)。2020年11月1日に工事を行い、深さ15.9mまで下げることができ水中の水温観測開始となりました。水温のグラフを示します。
2020.11.1から2024.4.1までのデータです。
ポンプの汲み上げなどの擾乱を押さえるため、1日平均値を示しています。季節変化など、この井戸特有の変化の解明は長期の観測を要します。
約4年間のデータを見ると、長期的な傾向として水温値がやや下降しているようです。
(図の作成には東京大学地震研究所のTSEIS web版を使用。データは気象庁のJMA_PDEです)